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幸せな夢に溺れて、沈んでいたいでしょ?

夢を見ていた。ひどく嫌な夢だった。
知らない世界。どこかで、見たことのある世界?
わからないけれど、暗くて、とても冷たい世界。
誰もいない場所で、裸足のままひとりで歩いていた。

わたしを呼ぶ声が聞こえる。この声は、悪夢から呼び戻してくれるあなた?
それとも──────


──お早う。
目が覚めた? ひどく魘されていたよ。




どうか、幸せな夢から⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。

​Story

『夢と現実の境界が、崩れ始めている』
そう言って助けてと手を握ったのは、たった一人の家族で、親友だった。

溶け出す壁、動き出す時計。真っ黒な【影】たち。境界の狭間から夢が流れ込むことによって、この世界では様々な異変があちこちで起こり始めていた。
親友──セライアには、その異変を消す力がある。しかし日々増え続ける狭間により、一人では異変に対応しきれなくなってしまったと言う。

「・・・本当は、君を危険に晒したくなかったんだ。でも君には、狭間を塞ぐ力がある。お願い、・・・助けて」

震えるその手を握り返して、二人で、この世界を守ろうと指切りを交わした。
異変を消して、狭間を塞いで、この、世界を。

第一位【虚構】ヴァストエル

罪過の愛が溶ける迄

ホラー/サスペンス

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